6. あるふぁとべぇた

 

 

  只野安曇(ただのあづみ)。

そしてクラスメート、椛山洋子(かばやまようこ)。


前者は「まるで存在感無し」「いてもいなくても誰も気付かない」

後者は「すさまじい存在感、影響力」「一挙手一投足を注目される」


そして只野安曇には不思議な力があった。
(注目されない方)

人間を、猿、猿人、原人、旧人。

そして新人・・・普通の人間、ここでは「真人間」と呼称しているが、

そんな風に人間を見えて(視えて?)しまう、不思議な能力があった。


椛山洋子はその「真人間」、、の数少ないひとりであった。


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人間として生まれてくる生命が待機している場所、「羊水牧場」(?)。

そこは花畑とか森とか川とか色んな場所がある。

ず~~っとぽかぽかしていて暖かい。


そこでたくさんの魂を宿らせたゼリーのような物体たち、、つまり人間予定の存在たちがわらわら集まって遊んでいるのである。

少年のようにも少女のようにも、ゼリーのようにも、お豆腐のようにも見える。


(注意書き:羊水牧場では、自分のことを「我(われ)」と呼ぶ)


べぇた~、べぇたってかわいいよね~

あるふぁもかわいいよ~


一番優秀な魂ふたり、あるふぁとべぇたはいつも仲が良かった。

普通は上位ふたりは争い、仲が悪いものであるが・・・


神様、、と呼称していいのか分からないがおおいなる存在、、そこを統治する存在、、

いや宇宙の意思とでもいうべきやはり大きな存在はそのふたりを見ていた。


「おまえたちは仲が良いな」

あるふぁ「だってーべぇたがね~かわいくって~独り占めしたくなっちゃうんだ~」

べぇた「えー同じだよお (略)」


神様は微笑ましく聞いていたかったが、さえぎった(神様とて同じなのだろう)。


仲の良いおまえたちに能力を授けよう。

元々優秀だったおまえたちだ、「超新人類」として、、頑張って生きるんだ。



・・・



なぁに?これぇ

いっぱいあるね。


なぁにこれー?
めんどくさいー
べぇた ハイッ(と渡す)

ズシッ 「お、おもたい、、」

いいものかもよー?全部あげるー

・・・え(汗)


・・・あるふぁはキレイなものだけを取った。

あまりキレイじゃないものは全部べぇたに押し付けた。


でも・・・べぇたは「あるふぁらしい」と思って仕方なくそれらを受け取った。


でもお わたしいっぱい良いの奪っちゃったでしょ。

だから、我の方が格下でいいよ。べぇたの子分になったげるー


いいなそれ


あははー そうしよー?



けしからんな!

神様(と呼称しておく)は怒った。

「あるふぁ!全部苦労するものはべぇたに押し付けるのか!」


「でもお、我 格下になったからいいかなーって思ったのー
やだもん!汚いのは持ちたくないいいぃい」

神様「まぁそう言うと思ったよ」

と、何故か満面の笑み。

自分のしたいようにするのはいいことだ。
他人に譲るのもいいことだがね。

時代は変わったんだな。

いや、昔の良い頃に戻ったと言うか・・・



こうして、ふたりは優等種「男性」として生まれるはずだったが、、


べぇただけが「男性」として生まれ、

あるふぁは「女性」として生まれた。


あるふぁ、べぇた、、「アルファ、ベータ、、」と続く。
最初の『アルファ』は『最優秀種』という意味である。


言うまでもなく、、

あるふぁ=椛山洋子

べぇた=只野安曇

である。


椛山洋子が注目を浴びるのは必然であった。

(最優等種でしかも、次席優等種の安曇の(略)も奪ったから)


奪ってしまったのは「存在感」とか「感情」とか「欲望」とか

最低限人間が必要なものと、、推測される。
あるふぁがべぇたから奪ったもの、である。


フンッ!と一度は取り返したべぇただったが、はい、とあるふぁにあげた。

あるふぁは 一見目立たないけど結構大事なものを、べぇたにあげた。

それは何なのか分からない。

「無」とか「虚無感」とか・・・悪そうに見えて実はとても人間にとって大事なもの
(ただし人生の最後に得るもの系・・・汗、汗)

だと、、推測される、が・・・。


あるふぁは向上心が強く、結構きつい意志を持っていた。

太陽にだって負けない。

我は誰にも負けない!絶対に。


そんな強いあるふぁに、まぶしさを感じていたべぇた。



『地球が宇宙に見放されて爆発しても。

私は生きてみせるわ』


薄く・・・目を開ける、、かつてのべぇた。今の 只野安曇。


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小説内の画像

前回参照


かつてあるふぁがべぇたを守った。

優 → 劣に対する情愛。

守った、、というより単純に可愛がった?と言うべきか。


昔の愛しい気持ちが蘇ったのだろう・・・

本当に安曇が可愛くて、きっと心無い人が何かしてしまう、付け入ってしまうと、、

思ったのだろう。

(何かもう・・・モンブラン食ってる気分だ)


安曇は感情を(洋子から)奪われてる。

それなのに、洋子から抱き締められ、感情が流れ込んできたようだった。

甘えたくて愛しくてどうしようもなくぎゅうっとしたい、、

お母さんに持つ感情だ。赤ちゃんの頃の。。
それすらなかった安曇が、やっとそれを、、獲得した。

 

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