4. 結
部活の帰り、暑くて暑くて汗をかきながら帰路に着く千花。 「(シャワー浴びたけどまた汗が・・・)」 ふと、 目の前に悟の姿が。 ・・・ 千花「(あんなことがあった後だから、気軽に声掛けられない・・・)」 しょんぼんりする千花。 もし自分がいるのが分かったら気まずいからそっと別のルートで行こう! と、そそそっと回り道をする千花。 ・・・ 「へ?」 思わず声が出る彼女。 考え事をしていたせいだろうか? 来た事のない場所に来てしまった。 大きな平野。波の音がするので先ーには崖があるのだろう。 「え?」 ざっぱ~ん ざっぱ~ん 確かに海は近い。 こういう崖は至るところにあるのだが・・・ しかし急である。 「(転がったらやばいから後ろに・・・)」 千花はそろりそろり、と後ろに下がった。 (後ろ歩き) ドンッ 何かにぶつかる。 背中に何かがあたった。 くるっと振り向く千花。 「えっ、木原先輩?」 あ"っ いきなりバランスを崩す千花。 彼女を支え、どすっとふたりは倒れた。 ぐるぐるぐるっ そのままぐるぐる回り崖の方向に行ってしまった。 千花「ぜんばい!、ああぁぁぁっ」 千花は腕を放そうとした。 ピタッ グググッ 悟がグッと勢いを止め、近くにあった大きな切り株がふたりを助けた・・・。 目が点になっている千花と、「お、おぼい・・・」と千花の重さに 息も絶え絶えになっている悟。 千花「お、重い?重くないですよ!・・・そんなに重いでs、、」 悟「違う!どけ!息がぐるし、、」 そんなことがあったからだろう。 全身で力を使った後に人にのっかられたら苦しい。 千花は、悟の右くちびるにキスをした。 そして、くちびるにキスをした。 悟はバチンッ!と叩かれて目が大きく見開かれたネコのようになった。 ------------------------------------------------------- 秀一「賭けになんなかったなー」 栄吉「なんねーだろ どう見ても」 ・・・ いつの間にかヒグラシの時期になっちゃったね。 と結衣。 『波 海子』は気付いたら転校していた。 親は一体どういう、、とか誰も気にする人はいなかった。 夕暮れ時、 部活の後にだらだらと雑談をする女子三人。 靖子「帰ろっ、いい加減」 立ち上がり、靖子がふたりに下校を促す。 寂しげなヒグラシを聞きながら、千花は海子っぽい(似ている)女神の言葉を思い出した。 『ひとり、頂くよ。あ、一瞬だけ 夏の日の、想い出!』 悟『おお、久し振りだな』 海子『ひっさしぶりぃ!悟君』 千花「(考えたくないけど、、何年も祈願?掛けてたのかな)」 それで知り合いになったとか 靖子「でも何なんだろうね? 異世界の扉って本当にあるのかな」 千花「作り話・・・か分かんなくなっちゃった」 結衣「え、何。身に覚えでもあるの?」 あったけど。 あったのかな? 場所だけじゃなくて、、心だとか。 『異世界』って 千花「(夏だからかな・・・)」 (了) |